はじめに
私は2011年9月、当時28歳で長男を出産し、長男が生後7ヶ月となった2012年4月に次の妊娠が発覚しました。
思ったより早い第2子の妊娠に戸惑いもありましたが、夫と2人で喜び『年子は大変かもしれないけど、可愛いだろうな。楽しみだな。』と想いをふくらませていました。
しかし!
その妊娠は異常妊娠で、胞状奇胎との診断を受けました。
今回は胞状奇胎の手術後の経過観察からその後の妊娠・出産についてを書いていこうと思います。
発覚から手術までの経緯はこちらをご覧ください。

手術後の経過観察について
胞状奇胎で手術を受けたあとは、定期的に病院受診し、経過観察を続けていきます。
この経過観察ではhCGの値を見ていくのですが、この値が順調に正常値まで下がっていくと経過順調となり、早くて術後6ヶ月で妊娠許可がおります。
妊娠許可は病院(先生)によって基準が違うかもしれませんが、私がかかっていた総合病院の先生も「経過良好だったら術後6ヶ月で妊娠許可がおります」と話されていました。
hCG量低下の目安は次のとおりとなります。
・5週で1000 IU/l以下
・8週で100 IU/l以下
・12週でLHレベルまで低下
侵入奇胎・絨毛がんについて
胞状奇胎妊娠のうち、10-20%は侵入奇胎を発症し、1-2%は悪性の絨毛がんへと移行すると言われています。
2015年にサッカーの大久保嘉人選手の奥さまが胞状奇胎になったことが話題になりましたが、彼女は侵入奇胎となり、抗がん剤治療を受けられています。
胞状奇胎の中でどのような人が侵入奇胎や絨毛がんに移行していくのかは、現在のところまだ明らかになっておらず、多くの医学者がその発生原因を研究しています。
侵入奇胎のほとんどは、胞状奇胎後多くは2~3ヶ月、遅くとも6ヶ月以内に発生すると言われています。
なので、胞状奇胎妊娠の後に定期的な受診と血液検査(hCG測定)を欠かさなければ必ず発見できる病気です。
胞状奇胎後に絨毛がんに移行してしまう前に、侵入奇胎の段階で確実な治療をうけることが最も大切です。
侵入奇胎
診断
侵入奇胎とは胞状奇胎の一部の組織が子宮の筋肉の中や血管の中へと侵入した状態をいいます。
全胞状奇胎の10~20%、部分胞状奇胎の0.5~4%に侵入奇胎が発生します。
こうして比べると確率的には全胞状奇胎の方がとても高いですね。
また、約30%の症例は肺に転移し、まれに膣に転移することもあるそうです。
この肺の転移は小さな病変の場合は通常の胸部レントゲン写真では見つけられないことが多いので、胸部CT検査が必要です。
侵入奇胎そのものは、がん(悪性腫瘍)ではありませんが、増殖したり転移したりすること、治療に抗がん剤が必要なことから、一種の前がん状態と考えることもできます。
ただし適切な治療を受ければ、ほぼ100%治癒する病気です。
症状
侵入奇胎の症状は特徴的なのものはありませんが、時に持続的な性器出血や腹痛をともなうことがあります。
小さな肺転移病巣は通常無症状であることが多いです。
絨毛がん
診断
絨毛がんも侵入奇胎と同様に子宮の筋肉内に腫瘍を形成しますが、一般に増殖や進展のスピードが侵入奇胎よりも早く、悪性度の高いがんであるといえます。
胞状奇胎後の患者さんの1-2%に発生しますが、正常分娩や流産など胞状奇胎以外の妊娠の後にも稀に発生することがあります。
これらの妊娠終了後から絨毛がん発症までの期間は数ヶ月から数年以上とまちまちです。
胎盤を作る細胞ががん化する原因は不明ですが、胞状奇胎や侵入奇胎を発症した患者さんは後に絨毛がんが発生する可能性も稀にあるので、注意が必要です。
私も気を付けなければ・・・
また、絨毛がんになると3分の2の症例で多発性肺転移を伴うと言われており、また肺のみでなく肝臓や脳、腎臓など全身に転移する可能性があります。
しかし、抗がん剤が非常に良く効く病気なので、正確な診断と適切な治療を受ければほとんどは治癒できる病気となっています。
症状
絨毛がんは全身に転移し易く、転移病巣の増大も早いので、肺転移による咳や胸痛などの呼吸器症状、脳転移による頭痛・痙攣・手足の麻痺・意識障害、肝転移による腹痛など症状が認められてから、はじめて絨毛がんと分かることもあります。
侵入奇胎・絨毛がんの治療
侵入奇胎、絨毛がんとも抗がん剤が非常によく効く病気なので、抗がん剤による化学療法が治療の中心となります。
またhCGは非常に鋭敏な腫瘍マーカーとなるので血液中のhCGを定期的に計測しながら治療効果を判定したり、治癒(寛解)の判定に用いたりします。
侵入奇胎に比べて絨毛がんの方が薬が強かったり、時間がかかったりと治療は大変になることが多いです。
子宮摘出や転移病巣の手術、脳転移した場合は開頭手術や放射線治療も必要となる場合もあります。
しかし、絨毛がんの生存率は90%前後と高いので、転移を伴うケースであっても最終的にはほとんどが制圧できる病気であると言えます。
侵入奇胎・絨毛癌の治療後の妊娠・出産
治療後に妊娠した場合の流産率や出産した赤ちゃんの奇形率なども、一般の健康な妊婦さんと比べて特に差はありません。
先にも書きましたが、サッカーの大久保嘉人選手の奥さまも侵入奇胎で抗がん剤治療を受けられましたが、その後第4子を無事出産されています。
体験談
hCG量の移行
以前のブログに胞状奇胎について書いていましたが、今回は術後半年までのhCG量の移行についてまとめてみました。
先にも書きましたが、手術後のhCG量の低下の目安は以下のとおりとなります。
・5週で1000 IU/l以下
・8週で100 IU/l以下
・12週でLHレベルまで低下
112099
【手術前】
数値は分かりませんが、初診時から大分増えていたと思います。
【術後6日】
4227.76
担当医からは「とりあえずの経過としては順調です」と言われました。
【術後2週】
300台
ここに来て術後5週間の目安1000を切りました。
入浴OKも出て、湯船につかれるようになりました。
【術後3週】
130
順調に下がっています。
【術後4週】
70
【術後5週】
66
【術後6週】
46
ここまで毎週受診していましたが、経過良好で次回は2週間後となりました。
これ、育休中でホント良かったと思います。
採血を受けて、結果が出るのにも結構時間がかかるし・・・
この時、担当医からは「そのうち、数値もはっきり出ないくらい、下がりますよ。ただ、経過は慎重に見ていく必要があるので、1年くらいは通ってきてもらいます。」と言われました。
【術後8週】
30
※術後47日目で月経が再開しました
【術後10週】
19
【術後12週】
6.23
【術後14週】
0
やっと0になりました!
【術後16週】
0
2週続けて0だったので、次は3週間後の受診となりました。
【術後19週】
0
この受診日は2012年9月。
育休が明けて仕事復帰後初めての受診でした。
【術後22週】
0
約2ヶ月間0をキープしているので、次の受診は4週間後に。
担当医からは「経過も順調だし、術後6ヶ月経ったら、次の妊娠も考えていいですよ。あと2ヶ月くらいかな?」と言われました。
【術後半年】
0
この受診で妊娠許可がおりました♪
胞状奇胎後の妊娠・出産
私は胞状奇胎妊娠後、約2年半で第2子を妊娠しました。
私が調べたものには「胞状奇胎妊娠の後、最後胞状奇胎になる可能性はそうでない場合と変わらない」と書いてあるものばかりだったのですが、初診で行った個人病院の先生からも「胞状奇胎のあとの妊娠は異常が見られることがある」って聞いたし、総合病院の先生からも「胞状奇胎になったあとは同じリスクが5倍くらいで・・・」って聞いたので、すごく不安にもなりました。
結果、正常妊娠で赤ちゃんも問題なく成長していました。
この時は妊娠糖尿病になり、妊娠中はインスリン注射をして血糖管理。
生まれた次男は成長し過ぎていて4264gの巨大児でした^^;!!
その後、次男出産から約1年9ヶ月後に第3子を妊娠。
この時は糖尿病合併妊娠。
次男妊娠時と同じくインスリン注射で血糖管理をしました。
生まれた娘は3266g。
胞状奇胎妊娠後の妊娠で授かった2人の子どもたち。
現在もすくすくと元気に成長しています。
おわりに
妊婦さんの400~500人に1人の割合で起こると言われている胞状奇胎。
自分の周りでは胞状奇胎妊娠をしたという人の話は聞いたことがあまりなかったけれど、1年間に妊娠する人の数を考えたら、胞状奇胎はそんなにめずらしい病気ではないのかなーと感じました。
自分が「胞状奇胎」の可能性を指摘された時はすごく不安で、ネット検索をしまくり、いろんな方の体験談もたくさん読みました。
そして、たくさん勇気づけられました。
今回私が書いた体験談もどなたかのお役に立てたらうれしいです。
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